【本の電子化!】本の「自炊」とは?やり方とメリット・デメリットを解説!

皆さんは、自宅に書籍をどれほど保管していますか?

漫画・雑誌・小説など書籍のジャンルは色々ありますが、定期的に購入しているという方ならかなりの数の本が自宅に眠っているのではないでしょうか?

近年では、そういった大量にある書籍をデジタルデータで管理する方が増えています。書籍をデジタル化することを「本の自炊」とも言われます。

今回は、「自炊」についての具体的なやり方とメリット・デメリットを解説していきます。

自炊とは?

自炊というと、自宅で調理することを想像してしまいますが、ここで言う自炊は全く違う意味になります。

自炊とは?

持っている書籍をスキャナーを使ってデジタルデータに変換すること意味する俗語。

デジタル化をするための裁断などの行為も含めて「自炊」と呼ばれます。

語源は「自ら本の内容を吸い出す」という意味の「自吸い」といわれています。(字を吸う→字吸い→自炊という説もあります。)

漫画や小説、雑誌、参考書など書籍がたくさん家にある方にとっては書籍の管理・収納場所というのは悩みの種です。

紙媒体の書籍は購入する度に増えて、本棚もいつの間にか埋まってしまい、収納場所に困ってしまうということは少なくないと思います。本棚を増やすにしても、本棚自体が大きくて場所を取ってしまうもの。本を必要なもの、不要なものに仕分けしても必要な本の方が多くて結局そんなに片付かない、なんてこともあるでしょう。(実際に私がそうでした・・・。)

そこで、デジタル端末が普及してきた近年では、電子書籍の利便性の高さから書籍をデジタルデータに変換して管理するという方が増えてきました。

デジタルでの管理のし易さを考えたら、今のうちに自炊でデジタルデータとしてまとめておいた方が後々のメリットの方が大きいんです。そのことから、書籍の自炊を選択する方が増えことで、まとめて発送するだけでデジタルデータ化してくれる自炊代行サービスを展開する業者も多くなっています。

スキャン方法は2パターン!

書籍の全ページをスキャナーで取り込むことでデジタルデータ化されますが、このスキャン方法には2パターンあります。

本を裁断してスキャンするパターン(破壊型)

本を裁断してスキャンする破壊型の場合、全ページをきれいにスキャンすることができる上に読み取りも高速なので大量の本を自炊することに向いています。

スキャンの効率の良いことや、裁断している分しっかりと平面の状態で紙を読み取れるため歪みが少ないのがメリット。

しかし、本を裁断するので原状回復はできません。

本をそのまま残しておきたい方にはおすすめできません。

本をそのままスキャンするパターン(非破壊型)

本をそのままスキャンする非破壊型の場合、本を裁断せずに開いた状態でスキャンするので、借り物や価値の高いものを自炊するのに向いています。

しかし、開いた状態でスキャンするので中央あたりがどうしても歪んだ状態でスキャンされます。

歪みを最小限にするにはギリギリまで開いた状態にしてスキャンするのですが、無理に開くと本を傷めてしまう恐れがあるのでスキャン時には注意が必要です。

自炊の手順を解説

自炊は、業者に依頼するか?自宅でするか?

自炊をする手段には大きく分けて2パターンあります。

  • 自宅で自炊をする
  • 自炊代行業者に依頼する

この2パターン別にやり方の流れを解説していきます。

自宅で自炊をする

自宅で自炊をする場合、必要な機材があります。

まずは、以下の機材が自宅に揃っていることが前提となります。

必要な機材
  • スキャナー
  • 裁断機(非破壊で進める場合は不要。)
  • USB
  • PC
  • 電子端末

機材がないという方は、全て購入するというのもありですが、期間限定で機材を貸し出してくれるレンタルサービス業者からレンタルする方が予算を抑えられます。

レンタルサービス業者は多いので一概に金額は言い切れませんが、スキャナーと裁断機を3日間レンタルすると、およそ10,000円弱はかかることを想定してください。

機材が揃ったら自炊したい本を用意しましょう。

本を裁断する

  1. 本を表紙と中身と切り離す。
  2. 中身を20〜50ページぐらいに小分けして裁断機で切り離す。
  3. 小分けにしたものを裁断機にセットする。
  4. 本の文章まで裁断しないように注意して、丁寧に裁断する。
  5. 表紙も裁断する。

以上です。

2の工程で本を小分けにする理由は、裁断機によって一度にカットできる紙の量が限られるからです。無理に厚い本を力づくでカットしようとすると歪みんでしまい、裁断がきれいにできない可能性があるからです。

漫画ぐらいの厚さがあれば、一度にカットしようとせずに小分けにしてカットしましょう。

裁断した本をスキャンする

スキャナーに裁断した紙をセットしてスキャンします。

使用するソフトは何でも構いません。ソフトの用意がない場合は事前にソフトをダウンロードして設定をしておきましょう。

私の自炊の際には、「Scansnap」を使いましたので、「Scansnap」のスキャンの流れを紹介します。

  1. Scansnapを起動させて、「保存先」をクリックする。
  2. ファイルの保存先を設定する。
  3. 「保存先」の右隣にある「読み取りモード」をクリックする。
  4. 「画質の選択」は「スーパーファイン」、「カラーモードの選択」は好みの設定にする。
  5. 「読み取り面の選択」は「両面読み取り」に設定する。
  6. 「白紙ページを自動的に削除します」と「継続読み取りを有効にします」にチェックを入れる。
  7. 「読み取りモード」の右隣にある「ファイル形式」をクリックする。
  8. 「ファイル形式の選択」では任意のファイル形式を選択する。
  9. 「検索可能なPDFにします」にチェックを入れる。
  10. 「対象言語」は「日本語」に設定する。
  11. 「対象ページ」は「全ページ」にチェックを入れる。
  12. 裁断した紙の順番をそろえる。
  13. 裁断した本を裏返しにして、頭から本をスキャナーにセットする。(すべて反対向きになるように。)
  14. スキャナーの開始ボタンを押す。

以上の流れで、セットした紙がスキャンされ、PDFデータがPCの「保存先」に設定した場所に送信されています。

注意!

念のために、スキャンされたデータの中身を確認しておきましょう!

1枚1枚スキャンする時に紙を多く巻き込んでしまい、スキャン漏れがあることがあります。(きれいに裁断できず、紙がくっついた状態だと発生します。)

きちんと全ページがスキャンされているかを確認しておきましょう。

漏れていた場合は漏れていたページだけ追加でスキャンし、あとでPDFデータに編集・追加しておくことで対応できます。

自炊は以上の流れで完了です。

デジタル化した書籍データを電子端末に送信することで、持ち運びが簡単になり、読み取りもスムーズになります。

電子端末はなんでも大丈夫です。iPadなどのタブレットサイズであれば、実際の本を開いて読んでいるような感覚で読むことができます。

電子書籍専用の端末もあり、専用端末であれば光を反射して画面を映す電子ペーパーを使用しているので、長い間画面を見ても目に負担がかかることがありません。

おすすめ端末:Amazon Kindle Paperwhite

Amazon会員ならKindleがおすすめ!電子書籍リーダーの先駆け端末!

Amazonの電子書籍専用端末。6.8インチサイズで軽くて薄いので持ち運びも簡単で、長時間持っても負担にならない軽さ。

防水仕様なので、お風呂に持ち込んでも大丈夫。お風呂に浸かりながらゆっくり本を楽しめます。

検索機能付きでタップすると辞書とウィキペディアで単語を調べられるのも嬉しい機能です。

コンパクトなので、横にした時には文字が小さくなって読みづらいです。拡大すれば問題はないです。

自炊代行業者に依頼をする

自炊代行業者に一括依頼してしまう方法も!

自炊代行業者とは、自炊を代行してくれるサービス業者です。

電子端末の普及でデジタルデータの利便性の高さに注目が集まり、自炊の需要が高まったことで専門のサービスを提供する業者が増えました。

自炊代行業者に依頼することで時間と労力をカットできるので、業者に依頼する方は多いです。

自炊代行業者への依頼方法

業者への依頼は多くがHPから依頼する形になります。

今回は代行業者「未来BOOK」の依頼の流れを例に挙げていきます。

  1. 自炊代行業者のHPから依頼。(本の冊数・ページ数やサイズなど情報を入力。)
  2. 本を梱包。
  3. 業者指定の場所へ発送。
  4. 業者からメールで見積もりが送られたら支払い。
  5. 業者が裁断・スキャン完了次第、業者からURL付きメールが送付される。
  6. URLからダウンロードする。

以上で自炊が完了です。

ダウンロードしたデータはUSBなどに保存しておき、電子端末に移動させることでいつでも快適に読むことが可能になります。

自炊代行業者に依頼する際に必要なのは、梱包と発送程度なのでこちら側の負担はあまりありません。

自炊したい本が大量にある場合は、業者に依頼してしまった方が手っ取り早いです。

自炊代行業者に依頼する際の注意点!

自炊代行業者はたくさんありますが、このサービス自体は法律的にはアウトとされています。

というのも、本には作者の著作権があり、本の所有者以外の第三者が本をスキャンする行為は、本の複製行為にあたり、著作権法2条1項15号に抵触します。

著作権法2条1項15号

複製 印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法により有形的に再製することをいい、次に掲げるものについては、それぞれ次に掲げる行為を含むものとする。

  • イ・・・脚本その他これに類する演劇用の著作物:当該著作物の上演、放送又は有線放送を録音し、又は録画すること。
  • ロ・・・建築の著作物:建築に関する図面に従つて建築物を完成すること。

実際に、2011年に作家の浅田次郎氏と東野圭吾氏が「業者が大規模に客を募って自炊をする行為は私的複製である」(弁護団)と主張して、複数人の自炊代行業者を提訴しました。

2011年に作家の浅田次郎さん、東野圭吾さん、林真理子さんら7人が代行業者を提訴。作家側は、ユーザー個人が電子化する行為は私的複製として「認められる余地がある」が、業者が大規模に客を募って行う場合は「私的複製に該当しないことは明らか」(弁護団)と主張。業者側は「複製の主体はユーザーであり、業者は『手足』に過ぎない」と主張していた。

 知財高裁は2014年10月、自炊代行では業者が複製の主体だとし、私的複製として認められる要件を満たしていないとして著作権侵害を認め、賠償金70万円の支払いと複製の差し止めを命じていた。

IT media NEWS 引用

自炊の業者依頼は著作権の違反にあたりますが、作家から許可を得ている場合は違法行為には当たらないそうです。

しかし、多くの業者は作家から許可を得ていません。そのため、「許可を得ていない作家の書籍に関しては自炊代行ができない」とHPなどで明記している業者がほとんどです

自炊代行業者へ依頼する際には、その業者がキチンと法律を遵守しているクリーンな業者であるかをサイトや口コミなどを調べておきましょう

また、自分が自炊したい書籍が代行業者が自炊できる作家の書籍であることもよく確認しておきましょう。

自炊のメリット・デメリット

自炊のメリット・デメリットを解説!

自炊によるメリットとデメリットを解説していきます。

自炊のメリット3つ

自炊によって得られるメリットは大きく分けて3つ挙げられます。

メリット1:収納場所が不要

紙媒体で保管するには、収納場所が必要ですが、デジタルデータで管理することで収納場所が不要になります。

本をしまう本棚を買い足すにしても本棚も安くはなく、また場所をとります。それを考えると、本棚分の場所と金額をカットできるのでかなりの節約になるでしょう。

メリット2:劣化の心配がない

紙は、様々な要因によって日々劣化していきます。紫外線による日焼けや高い湿度によるカビ、虫害も発生する可能性があります。

本の劣化を防ぐために部屋の空気を頻繁に入れ替えたり、日の当たらないところで保管したりと対策をしておく必要があり、本が大量にある場合はより管理が大変になります。

しかし、デジタルデータにすることでスキャンした状態でデータが残り、それ以上劣化することはありません。

これ以上劣化させたくない・きれいな状態で保管したい場合は自炊でデジタルデータで管理することをおすすめします。

メリット3:持ち運びが簡単

紙媒体では大きいもの(雑誌や図鑑など)の持ち歩きは難しいです。

デジタルデータであれば電子端末・USB一つで持ち歩きが簡単です。出先でちょっと調べ物をしたい時などに便利です。

また、引っ越しの時にも持ち出しが簡単なので荷物を減らすことができるのも嬉しいところ。

私自身も昨年持っていた本を200冊ほどまとめて自炊したのですが、引っ越しの荷物を少しでも減らしたかったから、というのも自炊に踏み切った理由の一つでした。

自炊のデメリット3つ

自炊にはメリットが多いですが、デメリットもあります。

考えられるデメリットを3つ挙げます。

デメリット1:原本の保存が難しい

自炊は、スキャンする方法(非破壊型・破壊型)によって本の保存ができるかどうかが変わってきます。

破壊型の場合は、効率が良く、よりきれいにスキャンができますが本を裁断することが前提なので保存はできません。さらに、裁断した紙の処理も面倒です。

非破壊型であれば保存はできますが、スキャンする際に本を傷ませてしまう可能性があります。さらにスキャンもきれいにはできません。

手元に原本で残しておきたいものだけは残して、それ以外を自炊するという方法がおすすめです。

デメリット2:データが喪失したら復元できない

データにすることで管理が簡単などメリットが多いですが、万が一データを誤って喪失してしまった場合は、バックアップを取っていない限り復元が難しいです。

もしも、書籍データが入っていたUSBを紛失した場合、タブレットやPCにバックアップが残っていないとデータは完全に失われてしまいます。

スキャンしたデータは必ずバックアップを取っておいて複数の端末で管理しておきましょう。

デメリット3:自炊が面倒

この自炊という工程自体がかなりの労力と時間が必要になります。

裁断時にはかなり力が必要になり、それを何十冊と繰り返すと腕は筋肉痛になることは必須です。(実体験)

また、スキャンする際にも必ず全てきれいにスキャンされるとは限らないのでデータの中身を確認しておく必要もあります。

筆者は、自宅で200冊以上の本を3日かけて自炊しましたが、完了した直後は疲れすぎて倒れるように寝てしまい、翌日には筋肉痛でヒーヒー言う羽目になりました。

普段から運動不足の人がいきなり大量の本を自炊しようとすると、体力的にかなり負担になるでしょう。